会計事務所の仕事についていけない…と感じる場合、原因は次の3つのうちのどれかだと考えられます。
- ①まだ仕事に慣れていない
- ②会計事務所の仕事そのものが合わない
- ③所長や会計事務所との相性が悪い
以下で順番に対処法を見ていきましょう。
この記事の目次
①まだ仕事に慣れていない
会計事務所に入社して1ヶ月〜3ヶ月という方が「ついていけない…」と感じている場合、まだ今の仕事に慣れていないというのが原因であることがほとんどです。
対処法としては、とにかく半年ほどは今の仕事に食らいついてみてください。
会計事務所の仕事というのは基本的にルーティンで動いています。
毎月の月次決算をして、1年に1回年次決算と税務申告を行うという仕事のサイクルは、何年経っても変わることがありません(これにプラスアルファで年末調整や個別の相談などが入りますが)
逆にいうと、一度慣れてしまえばそれ以降は基本的に同じことの繰り返しになりますから、楽になってくるはずです。
まずは1つの得意先について1つの事業年度が一巡するまで頑張ってみることを強くおすすめします(決算を1回やれば、その得意先についてはだいたいのことがわかるものです。2回目以降は基本的に同じことの繰り返しです)
成長を実感しながら仕事をするのが大切
基本的な仕事に慣れて余裕が出てきたら、
- 「得意先の社長に満足してもらうにはどうしたらいいだろう?」
- 「もっと大きな関与先の担当できるように所長に頼んでみよう」
- 「生命保険を使った節税方法の提案をしてみよう」
- 「資金繰りや融資、助成金についてももっと勉強してみよう」
などなど、どんどん税理士(あるいは税理士補助)として付加価値の高い仕事ができるように積極的に仕事に関わっていきましょう。
慣れてきた時に「こんなもんでいいや」で終わってしまうと成長はありません。
日々自分の成長を感じられない仕事というのはまったくつまらないものです(仕事は定年まで続きます)
仕事は積極的に関われば関わるほど楽しくなってきますし、収入も上がっていくはずです(自信がついてきたら、年収アップを目指して転職も検討してみると良いです)
会計事務所の仕事は経営者を相手にする分、とても奥の深い仕事ですから、突き詰めていけばどんどん新しい世界が開けてきますよ。
[ad#co-2]②会計事務所の仕事そのものが合わない
会計事務所の仕事についていけない…と感じる2つ目の原因は、会計事務所の仕事がそもそもあなたにあっていないという場合です。
会計事務所を目指す以上、なんらかの形で会計や税務の仕事に興味を持っている人であるとは思います。
しかし、会計事務所の仕事というのは実際にはコミュニケーション能力がとても重要な仕事ですし、1円でも誤差があると信頼を失ってしまう…という仕事のシビアさに面食らってしまうこともあるでしょう(思っていたよりもずっと外回りが多い…という悩みも多いです)
「石の上にも三年」は2回しかできない
世の中には「石の上にも三年というから、3年ぐらいは頑張ってみようよ」というアドバイスをする方も多いですが、若いうちの3年というのは非常に大きいです。
20代前半のうちはまだいいですが、30代になると未経験者としての転職は基本的に難しくなってしまいますから、20代のうちに一つの分野である程度の実務経験とキャリアを築いておかなくてはなりません。
大学卒の人の場合、23歳〜24歳で最初の仕事につくとすると、「石の上にも三年」をやれるチャンスは実はたったの2回しかないのです。
会計の仕事が本質的に自分に合わない、会社の数字なんて見るのもつらい…という状況の方は、早めに会計事務所の仕事には見切りをつけて、別の仕事を選択することも一つの手です。
③所長や会計事務所との相性が悪い
会計事務所の仕事についていけない…という場合の3つ目の原因として、あなたと所長や会計事務所との相性が悪いことも考えられます。
会計や税務の仕事、中小企業経営者を相手とする仕事のそのものにはやりがいを感じているものの、毎日職場にいくのが苦痛…という方の場合は、この3つ目の原因が該当するケースが多いでしょう。
税務さえできれば…では続かない
会計事務所の仕事そのものは会計や税務という専門性の高いもので、それ自体が付加価値の高いものです(世の中のお役に立つものです)
この専門の仕事さえできるようになりさえすれば、事務所内部での人間関係はそんなに気にしなくてもいいや…と考えている方もおられるかもしれませんが、こういう働き方を選択してしまうと高い確率で失敗します(数年間でうつ的な症状になって辞めていく同僚を数十人規模の数で見てきました…)
会計や税務の仕事をやりつつ、会計事務所内部の同僚や先輩、ボス税理士とはちゃんとコミュニケーションをとっていかないと続きません。
会計事務所との相性=所長との相性
今いる会計事務所が自分に本当にあっているのか?を判断する一つの目安としては、所長税理士との相性を考えてみると良いです。
会計事務所というのは非常に小さな組織ですから、事務所のリーダーである所長税理士の人格が、組織のあり方に大きな影響を与えるからです(税理士事務所の90%以上は従業員数10名以内の小さな組織です)
ですから、所長税理士の相性が合わないという場合、その会計事務所との相性はよくないと考えてほぼ間違いありません。
「これから事務所の規模を大きくしていこう」とアグレッシブに頑張っている所長税理士もいれば、「今の規模を維持できさえすれば大満足」というスタンスの所長税理士もいます。
仕事の進め方についても、基本的に仕事は職員に任せる人もいれば、自分ですべてチェックしないと気が済まないという所長税理士もいるでしょう。
今の所長税理士には人格的についていけない…と感じる場合、高い確率でその会計事務所とあなたの相性は悪いと考えて問題ありません。
「仕事はしんどいもの」?
もちろん、そのような環境でも「仕事はしんどいもの」と考えて働き続けるというのも一つの選択肢です。
しかし、楽しく働ける環境がもし別のところにあるのであれば、そちらの世界に入り込めた方が良いですよね(日本では仕事は若いうちに苦しめば苦しむほどエライ、という悪しき風潮がありますが、こんなことをやっているのは世界でほんとに日本人だけです…)
好きこそのものの上手なれとはいいますが、仕事に関しては仲間意識を持って楽しく頑張れている時がもっともパフォーマンスも良いものです。
また、職場の環境そのものがマッチしていない場合、あなたがストレスを感じながら頑張れば頑張るほど、「あの人はまあ頑張っているんだけど、なんかずれているんだよね…」という評価になってしまう可能性がありますから注意しましょう。
同じ仕事をしても組織により評価は違う
組織にはそれぞれ独自の評価基準があります。
これは1つの業界(税理士業界)で複数回の転職を繰り返してきた私の実体験からいえることですが、あなたがまったく同じ仕事をしていても、どの組織に属しているかによって仕事の評価が180度違う…ということは普通にあることなのです。
ある組織では同僚同士の人間関係をスムーズにできる人がもっとも評価され、別の組織ではそんなことは二の次でいいから仕事を早く済ませるべき、という評価の仕方がされることがあります。
独立して自分自身で職場環境を作る、という立場にない以上(つまりサラリーマンである以上)、組織の評価基準に自分を合わせていかないといけないというのもある程度は仕方のないことですね。
その際、自分の価値観にもっとも近い評価基準を持った組織を選択することがあなたの人生の質を高めるのに役立ちます。
会計事務所を選ぶ基準としては、上でも説明させていただいたように、所長との相性を参考にすればほぼ間違いありませんから、もし「今の所長には性格的についていけない…」と感じているのであれば、別の組織に移ることも検討してみる価値はあるかもしれません。