会計事務所に入社する時点で、税理士試験の科目合格を何科目持っているか?はその人の給与の金額にある程度影響があります。
なぜかというと、会計事務所職員のお給料というのは「担当しているお客さんの毎月の顧問料×担当件数」によって決まるからです。
会計事務所職員のお給料は以下の計算式でおおよそ決まると考えて問題ありません。
担当している顧問先の報酬合計×35%〜40%
顧問先の報酬合計というのは「顧問先1件あたりの顧問料×担当件数」によって決まります。
この記事の目次
科目合格がある人とない人の給与の違い
実際には、科目合格が1科目もないという人であってもある程度のトレーニング期間を経れば担当を任せてもらえます。
しかし、やはりある程度の規模の法人の場合、法人税や財務諸表論の知識があいまいだと担当を任せるのには不安があるというのが所長税理士の本音です。
具体的には、科目合格の数によって以下のようにお給料の金額に差が出ます。
- 科目合格1〜3科目…280~430万円
- 科目合格4〜5科目:430〜550万円
※株式会社MS-Japan経由で転職した人のアンケートデータに基づく数値です。
科目合格が少ないことによってお給料が少なくなってしまう原因としては、担当するのが顧問料の安い個人事業主や従業員数人程度の小さい法人だけになってしまうことが考えらえます。
上でも説明させていただいた通り、会計事務所のお給料は高い顧問料の得意先をたくさん担当するほど高くなるからです。
個人事業主や小さい規模の法人は処理が簡単な代わりに顧問料が安いというのが実際のところです。
なので、会計や税務についての知識が乏しい間は、業務が忙しい割に他の人と比べてお給料が安い…ということにもなりかねないのです。
会計事務所に勤めることを考える人で、少しでも高いお給料を目指すのであれば1科目でも多く科目合格を目指すのは必須と言えます(会計事務所に入社した後でも問題ありません)
もちろん、現在は簿記2級しか持っていない…という人でも会計事務所に採用される可能性は十分にありますから、採用された後に実務を覚えながら1科目、2科目…と科目合格を増やしていくようにすれば問題ありません。
例えば、毎年1科目の合格であっても5年後には「実務経験が5年ある状態で、しかも税理士合格者」という転職市場で非常に有利に扱われる状況を作ることができます。
難易度の高いお客さんをたくさん担当するほど給料は高い
一般的には決算や税務に関する難易度が高いお客さんほど顧問報酬は高くなりますから、簡単にいうと「難易度の高いお客さんを、たくさん担当している従業員」ほどお給料は高くなるということになります。
難易度の高いお客さんを担当するためには、税理士試験で問われる簿記論や財務諸表論、あるいは税法科目(実務で問われる知識としては法人税や消費税法の比率が大きいです)の知識がある方が有利です。
ですから、科目合格が多くある人は会計事務所の転職は有利になりますし、入社後のお給料も高くなります。
[ad#co-2]どの科目を選択するのが有利?
これから税理士試験の試験科目を選択するという段階の人の場合、合格後の転職活動まで見すえて科目選択を行うことをおすすめします。
- 簿記論
- 財務諸表論
- 法人税法
- 消費税法
- ※あと1科目は任意(できれば相続税法)
会計事務所を転職先に選ぶ場合、税法の選択科目は法人税法と消費税法は必ず含めるようにしましょう(所得税法と法人税法のどちらかを選ぶなら、法人税法を選ぶべきです)
法人税法と消費税法は法人企業の税務申告を行う上では必須の知識となります。
もちろん、実務を通して最低限の知識は身につきますが、やはり理論的な部分を理解していることは大きな強みになりますし、その知識を「科目合格」という形で客観的にアピールできることは転職活動を有利に進める上で重要です。
税法のもう1科目は何を選ぶ?
税法科目のもう1科目については任意に選択しても特に問題ないと思いますが、相続税法を選択しておけば資産税分野を特化している会計事務所などへの転職も有利になりますから、余裕がある方は相続税法を選択することをおすすめします。
もちろん、そもそも試験に合格しないことには意味がありませんから、上の例はあくまでも理想ですが、外資系のBIG4などの大手税理士法人を狙う場合には科目選択が採用の可否に大きな影響を与える可能性があることは知っておきましょう。
[ad#co-3]5科目合格してからだと採用されにくい?
5科目合格者が会計事務所への転職を行う場合、会計事務所側としては「実務経験を数年間積んだらすぐに独立してしまうのでは?」という警戒感があるのは事実です。
学生時代にすでに5科目合格してしまったという人であれば別ですが(そういう人は最初から大手税理士法人を狙ってもOKです)、基本的には科目合格が2科目〜3科目になった時点で会計事務所への就職をして、その後は実務経験を積みながら5科目合格に至るというのが良いでしょう。