会計事務所というと、どちらかというと真面目で大人しいタイプの人たちが数字とにらめっこしながら電卓を叩いている…というイメージを持っている方も多いかもしれません。
いわゆる「コミュ障(職場などでコミュニケーションを取るのが苦手な人たち)」といわれる人たちが目指す職業として会計事務所があげられることも多いでしょう。
ただ、結論から言うとコミュ障の人が会計事務所を目指すのはおすすめできません。
理由としては2個あげられます。
- ①会計事務所のお客さんは中小企業経営者であること
- ②基本的に「外回りの仕事」であること
以下で順番に解説させていただきますね。
①会計事務所のお客さんは中小企業経営者
当たり前ですが、どんな企業にもお客さんがいます。
会計事務所も1つの企業ですから、日常的にお客さんと関わって仕事をしていかなくてはなりません。
そして、会計事務所のお客さんは従業員数人〜100人以内の中小零細企業の社長さんたちなのです。
会計事務所職員の仕事(つまり税理士の仕事)はこうしたお客さんのところを月に1回ぐらいのペースで訪問し、コミュニケーションをとりながらニーズに応えていくのが基本になります。
※会計事務所の職員1人につき20件〜30件程度のクライアントを担当しますから、必然的に毎日お客さんを訪問することになります。
中小企業の社長さんというのはバイタリティあふれる体育会系の人が非常に多いですから、コミュ障と言われるように「自分はコミュニケーションに難がある」という自覚のある方には日常的な業務で精神的なストレスを感じてしまう可能性が極めて高いです。
[ad#co-2]②基本的に「外回りの仕事」であること
これはやや意外に感じる方も多いかもしれませんが、会計事務所に正社員で入ると数ヶ月間の社内研修を受けた後、「外回り」がメインの仕事になります。
外回りといっても営業マンとして仕事をとってくるというわけではありません。
クライアントである企業を1ヶ月単位で巡回して、クライアント企業の経理担当者さんが会計業務を正しく処理できているかどうかをチェックする業務が基本業務になるのです(これを巡回監査と呼ぶ場合があります)
巡回監査では得意先の経理担当者さんや、得意先の経営者からさまざまな相談を受けることになります。
上でも解説させていただいたように経営者という人たちは仕事に対しても非常にシビアな要求をしてくる人も多いです。
こういった仕事に柔軟に対応するのに「コミュ障」ではとてもつとまりません。
日頃からコミュニケーションをとりながら相手の意図を読み、クライアントが求めている情報は何か?を先回りをして準備していけるような人が会計事務所には向いていると言えます。
[ad#co-3]コミュ障の人たちにおすすめの職業は?
ここまで、「自分はコミュ障の傾向がある」という自覚のある方には会計事務所の仕事はあまりおすすめではないという話をしてきました。
ちょっときびしめに書いたので落ち込んでいる方ももしかしたらおられるかもしれませんが、「ややおとなしい」というぐらいの人であれば会計事務所でやっていくことはできるので心配ありませんよ。
今回の記事の内容で「会計事務所は厳しそう…」と感じてしまった方であれば一般企業の経理を狙うというのも良いでしょう。
一般企業の経理は基本的に内勤ですし、真面目にコツコツ仕事に取り組むことがとても大切な仕事です(もちろん、社内でのコミュニケーションもある程度必要ですが)
なので、目の前の業務をしっかりとできる方は一般企業経理で良いパフォーマンスを発揮できる可能性がありますよ。
私は「人と話すこと自体が苦手」というレベルのコミュ障の方が、会計事務所に転職してうつ病のようになって辞めていく…という事例を身近でよく見てきました。
やはりこういう悲しいミスマッチは避けた方がその人の人生にとってプラスになると思うので今回はやや厳しめに書かせていただきました。
転職は自己分析をしっかりやった上で決断を下すべきものですから、「とりあえず資格を持っていたら有利」とか、「会計事務所=真面目な人たち」イメージだけで希望職種を決めるのは避けましょう。