ごく簡単にいうと、会計事務所の仕事はお客さんの企業から「経理業務の難しい部分」を丸投げしてもらうことです。
経理業務というのは、日常の仕訳入力のような比較的単純な業務と、決算や税務申告といった難しい業務の2つに分けられます。
比較的単純な経理作業は顧客企業のスタッフに担当してもらい、会計事務所ではその作業のチェックと、決算や税務申告の業務を担当するというような形で役割分担を行うことになります。
お客さんの立場としては、専門知識を持った経理スタッフ(決算などの業務を行える人たち)を雇うよりも、日常的な経理作業は社内で行なって、会計事務所にチェックを依頼する形をとった方がコスト的にも安く、しかも信頼性が高いというメリットがあるのです。
会計事務所スタッフの日常業務は?
会計事務所のスタッフ(職員)は、毎月に1回の頻度でお客さんの事業所を訪問し、経理の作業が正しく行われているかをチェックします(これを月次巡回監査と呼びます)
月次巡回監査の結果として月次試算表を作成し、社長に報告をして1ヶ月のルーティンが完了という形が多いですね。
会計事務所の担当者は、1人でだいたい20件〜30件程度の顧客を担当しますから、必然的に毎日お客さんの事業所を訪問することになります(1日1件〜2件のお客さんをまわるため)
日中はお客さんをまわって月次監査を行い、夕方ぐらいに事務所にもどってくる、という形で仕事をしている人が多いですね。
このように月次巡回監査を12ヶ月分繰り返すことで、1年間の会計データが蓄積されることになります。
このデータをもとに1年に1度の年度決算と税務申告を行い、1つの担当顧客の仕事が完了することになります。
[ad#co-2]会計事務所と一般企業【男女比や年齢構成】
会計事務所と一般企業の経理部では、働いている人たちの属性がかなり違います。
まず、男女比では一般企業経理の場合は女性の比率が高いのに対して、会計事務所では圧倒的に男性スタッフの数が多いです。
会計事務所で働いている人たちは基本的に税理士志望者で、税理士試験の勉強をしながら会計事務所で税理士業務の実務経験を積んでいるということが多いためです(税理士志望者は男性が多いです)
年齢構成では、会計事務所は比較的若いスタッフが多いという特徴があります。
20代〜30代前半で実務経験を積みながら税理士試験に合格し、30代半ばごろに税理士として独立するというのが会計事務所で働く人たちの典型的なキャリアプランと言えます。
ただし、税理士試験は誰もが合格できる試験というわけではありませんから、30代になって試験合格はあきらめ、そのままスタッフとして働いている人も多いです。
会計事務所での実務経験をもとに一般企業経理に転職するというケースもよくみられるパターンですね。
会計事務所と一般企業【キャリアの違い】
上でも説明させていただいたように、会計事務所での実務経験は一般企業経理でも重宝されるという特徴があります。
通常、一般企業経理ではメインの業務である決算や税務申告の業務は年に1回しか経験することができません。
一方で、会計事務所では顧客企業の決算と税務申告を毎月行うことになりますから、多い人であれば年間30件以上の決算と税務申告業務を経験することができます。
1年に1回しか経験していない人と、1年に30回経験している人とでは大きな差がありますよね。
これが数年間の実務経験として積み上がった場合、一般企業経理しか経験していない人と比べると、圧倒的な会計や税務の知識の差が生まれます。
さらに、会計事務所では決算や税務申告以外にも給与計算や年末調整、税務調査の立会などの業務を経験することができますから、会計に関する総合的な実務経験を積むことが可能になります。
会計事務所での実務経験があれば、税理士としての独立だけではなく、一般企業経理への転職というキャリアプランもひらけてきますから、会計に関するプロを目指している方は会計事務所からキャリアをスタートすることは良い選択であるといえます。