会計事務所への転職を目指している方にとって、入社前に会計事務所の実態をできるだけ具体的に知っておくことはとても大切なことです。

税理士試験の勉強をしている人の場合は、入社後に実務と勉強の両立ができるかどうかは将来のキャリアを考える上で極めて重要ですし、年収などの面でも「こんなはずじゃなかった…」なんてことになるのは避けたいところですよね。

今回は、会計事務所で働いている人がどんな人たちなのか?給料がいくらぐらいなのか?といった会計事務所の実態について具体的に見ていきましょう。


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1.会計事務所の従業員数はどのくらい?

会計事務所の90%以上は「所長税理士 + 従業員3人〜5人」という規模の小規模事務所です。

1つの事務所あたりの平均的な売上額は4000万円程度というデータがあります(総務省統計局サービス産業動向調査に基づく試算)

実態としては所長税理士が一人で個人事業主として税理士業を開業し、お客さんが増えて1人ではさばけなくなってきたら従業員を1人ずつ増やしていっているというのがよくあるパターンですね。

1-1.全ての人が税理士になるわけではない

会計事務所に従業員として入ることを目指す人は、最初は自分も税理士として独立を目指し、実務経験を積みながら税理士試験の勉強をするというのが一般的です。

しかし、税理士試験というのはすべての人が受かる試験ではありませんから、最終的に試験はあきらめてそのまま会計事務所に長年従業員として所属するという人も多くいます。

会計事務所の中で実務経験を積めば、その後は一般企業の経理管理職などのキャリアもひらけてきますから、必ずしも税理士として独立することだけが唯一の道というわけではありません。

※もちろん、仕事をしながら税理士試験に合格するためにはかなりの根性とモチベーションが必要ですから、数年間は全力で頑張るべきですが。


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2.従業員の中で、有資格者は何人くらい?

あくまでも一般的な傾向ですが、従業員10人に対して1人〜2人程度の税理士有資格者がいる、というのが会計事務所の資格保有者の実態だと思います。

私が以前所属していた会計事務所では、所長税理士1人に対して、資格を持っていない職員が20人ということもありました(これはちょっと極端なケースですが)

いずれにしても、会計事務所への転職を目指す人は、面接を受けようと考えている会計事務所にどのぐらいの割合で資格保有者がいるのか?は事前にチェックしておいた方が良いです。

2-1.有資格者が多い会計事務所を選ぼう

資格保有者の割合が多い=仕事をしながらでも税理士資格の勉強をしやすい環境が整っている」と考えてほぼ間違いありません。

まわりに試験を目指している人がいるのと、いないのとでは環境として大違いですからね。

例えば、仕事が終わった後に飲みに行くのか、資格スクールの講義を受けに行くのか…はその事務所の文化によってぜんぜん違います。

2-2.まずは環境を整えることが大切

勉強をして行く上で環境はとても大切です。

まわりに税理士試験の勉強をしている人が1人もいない…という環境では、あなたが働きながら試験に合格するのは確実に難しくなります。

逆に、毎年のように5科目合格者が出て、「次は俺だ!」と思いながら勉強している人たちがいる環境に入ることができれば、あなたが合格する可能性もグッと高くなるでしょう。

なお、資格保有者の割合については、その会計事務所のホームページなどで公表されていることが多いです。

公表されていないという場合は、あまりにも資格保有者が少ないので公表できない…というケースもあるので注意しておきましょう。

正確な割合が知りたいのであれば面接の時に確認するのが一番ですね。

2-3.有資格者以外は勉強はしているの?

税理士試験の勉強以外にも、会計事務所の仕事は日頃から会計や税法についての勉強が欠かせません。

税法は基本的に毎年変わりますし、助成金や融資についての知識は数ヶ月単位でアップデートしていかないとすぐに陳腐化していってしまうというのが実情なのです。

税理士試験を目指す方はこの「実務のための勉強」と「税理士試験の勉強」の2つをうまく関連づけて勉強して行くことが大切です(それぞれを別個の知識として考えると大変です)

逆にいうと、会計事務所の仕事というのは資格試験のために勉強したことがすぐに実務で生かせるという珍しい職種ということができますから、勉強が好き(少なくとも嫌いではない)という人は会計事務所には向いているでしょう。


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3.会計事務所の初任給は平均でどのぐらい?

会計事務所へ転職するにあたって、やはり気になるのは初任給ですよね。

私の場合、20代で会計事務所に未経験で転職した時の初任給は額面で20万円ちょうどぐらいだったと思います(正確な金額ではありませんが、20万円未満ではなかったと思います)

手取りの月収にすると18万円ぐらいでしょうか。

どの会計事務所に転職するかによって多少の誤差はあると思いますが、だいたいこのぐらいが20代未経験で入社する時の平均相場だと思います。

30代の人や、養っている家族がいるという人は未経験であっても初任給はもう少し高いかもしれませんね。

3-1.年収の高い会計事務所を狙うには?

会計事務所の給料水準や年収の実態についてはこちらの記事(>>会計事務所の年収は?無資格30歳で400万円は可能?)で解説しているので参考にしてほしいですが、入社数年間は月給手取りで20万円前後、ボーナス含めた年収にすると350万円前後というのが実際のところです。

 

特に、昔ながらの会計事務所だと所長税理士が「従業員は税理士資格を取ったら独立して行くのだから、修行させてあげる」ぐらいの気持ちで従業員を使っているケースも少なくないのが実態です。

3-2.未経験か経験者かで初任給は違う

ただし、初任給は未経験で入社するか、経験者として入社するかによって違うと思いますし、入社する時の年齢や家族構成によっても変わってくるでしょう。

あなたが志望している会計事務所の採用スタンスによっても金額は変わってくると思います。

実際、同時期に入社した別の会計事務所の人(TKCの研修で知り合った人です)は当時よりもだいぶ年上だったのですが、初任給の金額は私よりもかなり多かったように記憶しています。

※TKC事務所って何?宗教?という方はこちらをご覧ください

3-3.会計事務所の初任給は低い?

結論的に、会計事務所の給料は若いうちは安い部類に入ってしまうとは思いますね。

私は会計事務所に転職する前には証券会社で営業マンをやっていたのですが、その証券会社の初任給は25万円ぐらいあったと思うので(これはかなり高い数字だと思います)

とはいえ、会計事務所には「税理士の勉強をしながら実務経験を積める」という他の業種にはない魅力があるのも確かです。

経験を積むうちにお給料も少しずつあがっていきますからね。税理士試験に合格したり、科目合格ができたときには月給がアップする仕組みになっている会計事務所も多いと思いますよ。


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4.会計事務所の実務経験はキャリアに有利

私は会計事務所時代は正直年収はそれほど高くはなかった(ボーナスを入れて400万円ぐらいだったと思います)ですが、その後に会計事務所での経験をいかして一般企業経理に転職するときには大幅に年収をアップさせることができました(年齢的な平均額よりも多いと思います)

これは会計事務所で積んだ実務経験がなかったらありえなかった話ですから、結果としては会計事務所に若いうちに転職できたことは良かったと思っています。

これから会計事務所への就職を目指す方は、初任給という短期的な数字にはあまりこだわらないのが良いでしょう。

その後のキャリア形成のために実力をつけることができる事務所か?という視点を持っておくことが大切だと思います。

>>現在募集中の会計事務所の求人案件

4-1.「修行の場」と割り切るべき?

少し前までは税理士資格を取りさえすればかなり安泰という部分がありましたから、従業員として入社する側の立場としても「数年間は見習いとして耐えて、資格取得後に独立する」という気持ちで頑張れたという事情がありました。

しかし、今は会計ソフトも良いものがたくさん出回っていますし、経理業務のアウトソーシング業者も多くなっていますから、「税理士資格を取得しさえすればあとは安泰」という業界ではなくなっているというのが実情です。

そう考えると「見習いとして会計事務所に就職し、数年間は給料が低くても我慢して、その後資格取得して独立」というキャリアプランは危うくなっていると言わざるを得ません。

4-2.成長志向の強い会計事務所を選ぼう

当然ながら、会計事務所側もそういった業界的な動向はよく理解しています。

会計事務所の中には、事務所そのものが組織として大きくなっていくことを目指しているところもあります。

会計事務所への転職を目指す人は、こういう事務所を選んで転職活動を行うことが大切です。

事務所として大きくなって行くためには、必然的に従業員には長く在籍してもらい、社内で人材を育てていくということが必要になります。

従業員に長く働いてもらい、社内で人材を育てていくために福利厚生を充実させ、社内でキャリアアップしていく仕組みをつくるのに努力している会計事務所も多くあるのです。

4-3.あなた自身が会計事務所を選ぶ

従業員が長く所属している会計事務所では必然的にノウハウが積み上がっていきますから、レベルの高い税務や会計のサービスを提供できるようになります。

そういった業務レベルの高い会計事務所で実務経験を積めば、その後のキャリアアップにも大いに役立ちます。

会計事務所を目指す人の立場としては、こういった「大規模化を目指し、従業員の教育や福利厚生にも力を入れている会計事務所」をよく吟味して転職活動を行い、自分のキャリアを主体的に築いて行くことが大切です。


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5.会計事務所に他業種から参入は無理?

結論から言うと他業種での実務経験しかない方でも、会計事務所に転職して税理士を目指すのは可能だと思います。

私自身、もともと税理士業界とはまったく関係のない証券会社の営業マンをやっていました。

会計事務所に入るときには税理士資格どころか簿記資格も持っていませんでしたし、経理や税務に関しても全く知識はなかったですよ。

未経験で会計事務所への転職を目指している方は、以下のようなポイントを押さえて転職活動を行っていくとスムーズに採用につなげていけるでしょう。

5-1.会計事務所の仕事内容を知る

未経験者の方ほど、会計事務所の仕事についてよく理解しておきましょう。

採用側としては「もしどういう仕事かわからずに応募してきたのだとしたら、入社後にすぐ辞められてしまうかも…」という意識が少なからずあるものです。

そのため、面接では「ちゃんとどういう仕事か理解した上で応募しましたよ」ということが伝わるようにすることが大切です。

5-1-1.会計事務所の基本業務は経理のアウトソーシング

会計事務所の基本的な仕事は、お客さんの企業からの経理や税務についてのアウトソーシング(外注受け)だと思っておいて大きな間違いはないです。

会計事務所のお客さんは従業員数人〜100人までの中小零細企業がほとんどですので、経理部門を持っていないという会社も少なくありません(奥さんが経理をやっているという会社も多いです)

そういった規模の会社としては自力で税務申告まで自社内で完結するのが難しいというのが実情です。

事業を始めると経理ができなかったとしても税務調査は確実にきますので、それなら会計事務所にお願いしようか…となるわけですね。

5-1-2.経営者へのコンサルティング業務

会計事務所の仕事は基本的には上記の通り会計と税務に関するアウトソーシング(外注受け)ですが、「それだけでは食えなくなってきている」というのが会計事務所の実情です。

最近では優秀な会計ソフトが安くで普及してきていますから自社内で経理に関しての専門家がいなくても法人税の申告まで完了できるというケースも少なくありません。

これまでのように経理のアウトソーシングを受注しているだけでは、安価な会計ソフトとの競争になってしまうので、客単価もどんどん下がってしまいます。

この対策として、多くの会計事務所では経営絵社に対する財務や経営に関するコンサルティングに取り組むようになっています。

具体的には決算書を経営に役立つデータとして扱い、経営を合理化していくお手伝いをしたり、金融機関との融資交渉がうまくいくように支援していくといった業務に転換して行っています。

5-1-3.いま、税理士業界は転換期にある

現在は会計事務所も単なる経理アウトソーシング業から、会計コンサルティング業への転換を目指して努力している時期と考えることもできるでしょう。

会計事務所としてはこういった付加価値の高い業務を従業員にこなせるようになってほしいと考えていますので、あなたがこうした仕事に関する適性を持った人材であることをアピールすることが採用につながる一歩になるでしょう。

この点に関しては会計事務所未経験の人であってもアピールできるポイントだと思います。

5-2.コミュニケーション能力も大切

会計事務所や税理士というと「どちらかと内気で、几帳面な人」というイメージがあるかもしれません。

確かに、会社の数字を扱う仕事ですから、几帳面であることには越したことはありません。

ですが、実際に会計事務所で10年間仕事をしていた私の実感としては、会計事務所の仕事には、体育会系の営業マン気質を持っている人も意外に向いているんじゃないかなと思っています。

というのも、会計事務所のお客さんは経営者です。特に昔ながらの経営者の方って、体育会系の人が多いんですよね。

仕事の面でもバリバリの営業をやって生きてきたという方が多いです。

かなり体育会系な営業マンの経験があった私は、初対面のときに意識的にそのときの話をするようにしていました。

やっぱりバックグラウンドが似ていると親近感を持ってもらえると思います。

会計事務所の面接でもこのような点を伝えられると採用の可能性はアップするでしょう。

もちろん、営業は苦手!という方も心配はありません。

会計事務所では基本的に新規開拓営業のような仕事はありません。

ただ、毎日顔をあわせるお客さんが上記のようにバイタリティあふれる経営者の方たちであるということは意識しておくと良いでしょう(基本的に気さくで魅力的な人ばかりです)

5-3.税理士を目指していると伝えるべき?

会計事務所を目指している人の多くは税理士を目指していると思います。将来的には独立して一国一城の主に…と考えている人も少なくないでしょう。

ただし、転職面接では独立に関しては触れないほうが無難でしょう。会計事務所側としては従業員に独立されて得することは何もないですから。

税理士を目指していることは言っても問題ないと思います。

会計事務所の仕事は会計や税法の勉強を普段からしていかないと成り立たない仕事なので、基本的に勉強が好きな人でないと務まりませんからね。

勉強好きで、人とのコミュニケーションが好きで、独立を考えていない人(ただし、面接では黙っていればOK)

こういう人が会計事務所側の理想の人材像ということになるかと思います。


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6.環境の良い会計事務所に転職するには?

現在、会計事務所に勤めている人の中には、給与の低さや会計事務所としての業務レベルの低さ(将来のキャリアを考えたとき、にこれで通用するのか?)に悩んでいる…という人もひょっとしたら多いかもしれません。

私自身、3社の会計事務所を経験していますが、それぞれの会計事務所によって年収も業務の専門性もまったく違っていました。

また、会計事務所というのが基本的に小さな組織(従業員10人程度)ですから、どうしても従業員同士のコミュニケーションも内向きになってしまうものです。

6-1.同じ仕事なのに年収が違う…?

日頃の業務的な負担が小さい事務所の方が年収が高い、ということは普通にあります。

どうせなら一緒に働いていて楽しい、勉強になる人たちが集まる環境の会計事務所に所属したいものですよね。

もしあなたが1つの会計事務所しかまだ経験したことがない(あるいは会計事務所は未経験)という方であれば、ぜひ視野を広く持ってさまざまな会計事務所の求人をみてみることをおすすめします。

 

  • 税理士試験と両立しやすい環境
  • 資産税等の分野に力を入れている
  • 従業員の福利厚生を重視している

 

こういった条件の良い会計事務所は専門サイトの情報をみながら探していけばちゃんと見つかるものです。

6-2.大手の事務所にもチャレンジしよう

簿記と財表を持っているのであれば、ぜひ大手税理士事務所にもチャレンジしてみましょう。

小規模な会計事務所と大手税理士事務所では年収が2倍以上違うということも普通にありますよ。

大手税理士事務所は業務がハードなのは間違いないですが、実務を通して勉強になることは非常に多いです。

そういう中で実務経験を積むことは将来的なキャリアアップを考える上でも役立つことは間違いありません。

税理士としての独立だけを考えるのではなく、最終的には独立を目指しながらもそこに至るまでのキャリアアップのあり方についても慎重に考えることが大切と言えるでしょう。